夏侯一族の中にありながら、

三国志随一の烈女だといわれた女性がいます。

 

それは夏侯令女という女性ですが、

夫への貞潔を生涯にわたって貫いたことで知られています。

 

 

ただその貫いた様があまりに壮絶であったことから、

同時代の学者であった皇甫謐の「列女伝」にも名が残されるほどでした。

夏侯令女(かこうれいじょ)

夏侯令女夏侯文寧の娘としてこの世に誕生しています。

ちなみに「令女」もですが、父親の「文寧」も名ではなくあざなになります。

 

そんな夏侯令女ですが、

曹爽の従弟(曹真の甥)にあたる曹文叔そうぶんしゅくに嫁いでいます。

 

おそらく曹文叔も普通に姓と字だけが今に伝わった人物でしょうね。

 

 

ただ不幸にも夏侯令女は、夫であった曹文叔をすぐに亡くしてしまい、

若くして未亡人になってしまうのでした。

一度目の再婚話

若くして未亡人になってしまった夏侯令女ですが、

それを忍びなく思った両親は、夏侯令女へ再婚話を持ち出したのでした。

 

夏侯令女は亡き曹文叔への貞潔を貫くために、

自分の髪を切っただけでなく、両耳までを切り落とします。

 

夏侯令女のこの行動に周りの者達は何も言えなくなってしまうのでした。

 

 

それから少しして夏侯令女は家を飛び出し、曹文叔の従兄にあたる曹爽を頼っていっています。

二度目の再婚話

曹爽の元に身を寄せた夏侯令女でしたが、

そんな最中に司馬懿のクーデターにあって、曹爽の一族・一派は粛清されてしまいます。

 

これにより行き場を失った夏侯令女は、再び実家に戻ることになってしまったわけです。

 

 

そんなこんなで実家に戻った夏侯令女でしたが、

そんな夏侯令女に待っていたのは、二度目の再婚話でした。

 

そして今度は夏侯令女はを削ぎ落として、曹文叔への貞潔を貫いたわけです。

 

 

そして夏侯令女は両親に対して、

「何度言われても、曹文叔様への貞潔を、

そして現在立場を弱めている曹家への義を貫こうと心に決めております。

 

なので何度再婚話をされても、私がその話をお受けすることはありません。」

と血まみれの状態で力説したのでした。

 

夏侯令女の強い想いを、二度までもまじまじと見せつけられた両親は、

夏侯令女に対して再婚話を二度と出すことありませんでした。

一族の再興

夏侯令女の話を聞いた司馬懿は、

曹文叔の妻である夏侯令女に対して、特例措置を出してあげています。

 

 

既に亡くなっていたとはいえ、

曹文叔の妻であっただけで死罪になる可能性すら秘めていた中で、

 

司馬懿は貞潔を守り抜いた夏侯令女に、養子を取るように勧めたのでした。

 

 

その後に夏侯令女の養子になった人物は、誰かは伝わっていませんが、

夏侯令女は養子を頂いて、滅びかけた曹一族の道に一筋の光を残したと思われます。

司馬懿 -晋の土台を築いた諸葛亮のライバル-