周魴(しゅうほう)という人物
周魴は若い時から学問好きで、勉学に励んでいた人物です。
そんな周魴は呉に仕える事になるのですが、
大規模な反乱が起こっていた銭唐(せんとう)を任されたこともありました。
周魴はその期待に応え、
鎮圧に成功しています。
周魴はこの反乱鎮圧を機会に、
反乱が起こっていた色々な地域に送り込まれる事になります。
送られた地域×②できちんと結果を残していった周魴は、
昭義校尉に任命されることになります。
孫権、魏の曹休への偽内通者を募る
呉方面の総司令官に曹休が任命されており、
これまで曹休に痛い目に何度も合わされていました。
そこで孫権は
「誰か偽の内通者を出して、
曹休をなんとかしておびき寄せようぜ!
ただあんまり無名のやつだと意味ないんで、
少しは魏に名前がねー、
知れ渡ってる人限定だからな!」
といって偽内通をしてくれる人を募集します。
ここでこれに立候補したのが周魴だったのです。
曹休を騙すべく7通のラブレターを周魴が送る
まず最初のラブレターは、
ジャブパンチの応酬!
「揚州の備えはぶっちゃけちょろいよ。
呉を捨てて貴方の元へ逃げたいんですけど・・・」
「揚州攻めて、
私を連れ去ってくれるよね?」
「主である孫権を信じる事ができないんだけど、
曹休様は私を迎えてくれるよね?」
しかし曹休は周魴のこれらの手紙を読んで、
「こいつ二股かけてんな」と疑い、
曹休は周魴の手紙をスルーする始末・・・
返事が返ってこなかった周魴ですが、まだ諦めずに手紙を送り続けます。
「返事が貰えないって事は、
私に魅力がないってことなの?」と・・・
ここにきて曹休は、
「もしかして、こいつは二股じゃなく、
真実の愛を求めてきてる?」
と周魴の事が少し気になりだします。
そこへすかさず、
ラブレターの連打連打!
「私の愛が本当だというのを
部下にもきちんと見せつけたいので、
なんでもいいので、
愛を証明できるもの(官位)を私にください!!」
「自分の身内をそちらに送るので、
信じてください」
「前に魏への愛を貫こうとして、
二股疑惑かけられて失敗した人いたけど、
実はその人と私は同じ気持ちで仲良かったんだよね。」
これだけ周魴から猛烈にアピールされた結果、
「真実の愛だったんだね」
と曹休は信じてしまったのでした。
最後の仕上げ(髪切り)
周魴を信じ込んだ曹休に、
周魴は最後のシメの料理を出します。
孫権からいちゃもんつけられて、
親から貰った大事な髪を剃ることに・・・
今の時代と違って、
この時代の親から貰った髪の毛を切るというのは、
それほどの重要な意味があったわけです。
もちろんこれは周魴の作戦で、
呉の内部に紛れ込んでいるスパイが、
「周魴が髪を切った話を曹休に知らせるだろう」
という思惑があったのは言うまでもなく・・・
周魴の狙い通り、この話をスパイから聞いた曹休は、
周魴の寝返りを完全に信じる事になったのでした。
石亭の戦い
周魴の愛をしっかりと受け止めた曹休は、
周魴に連れられて呉へ攻め込むことになります。
しかしあまりに周魴との話がずれてきていたこともあって、
曹休が周魴の愛が偽り(まがい物)だと気づいてしまいますが、
曹休は十万人を兵力をつれてきていたこともあって、
それほど慌てることはせず、そのまま呉へと攻め込む決断をしたのでした。
ただ準備万端の体制で待ち構えていた呉によって、
曹休は惨敗を喫してしまいます。
皇族であった曹休は、敗北の罪に問われることはありませんでしたが、
これをきっかけに腫瘍を患ってしまい、失意の中で亡くなってしまいます。
周魴の評価
大勝利を収める事に成功した孫権は、
「親から貰った髪を切ってまでして曹休を騙し、
呉の大勝利に貢献した周魴は大したもんだ!!!
今回の功績は後々まで伝承されていくだろうよ!」
と周魴をべた褒めしています。
ただ「異同評」という書物では、
「髪を切ってまで功績を手に入れようとした周魴の行動は、
身勝手きわまりないことである。
そんな事が後々の世で評価されるわけがない・・・」
と儒教的な立場の考え方から、
孫権と真逆のことを言って周魴のことを非難していたりします。
評価の視点はいくらでもあるでしょうけど、
世は戦乱ですし、儒教的な立場のみで物事を考えるのもどうかなとはおもいますけどね。
そのあたりが難しい世の中でもあったわけですが・・・
その代表的な例が曹操で、
曹操などは儒教的な立場を壊そうとしたからこそ、
長らく悪役のイメージがついたことも事実ですからね。