孫魯育（小虎/そんろいく）
孫魯育は、
孫権と歩夫人の間に誕生しています。
姉には悪女で知られる孫魯班がいたりしますが、
孫魯班は周循に嫁ぐものの、
周循が早世した後は全琮に嫁いだりしていますね。
一方の妹の孫魯育はというと、
「呉の四姓」と呼ばれた朱一族の朱拠に嫁いでいます。
補足としては朱拠が死んだ後は、
劉纂と再婚していたりもしますが・・・
孫魯班（姉）との対立
皇太子の孫登が亡くなってしまうと、
新たに孫和が皇太子に任じられることとなります。
しかし孫霸との跡継ぎを巡って、二宮の変が勃発！！！
陸遜を筆頭に多くの者達が孫和を指示する中で、
朱拠・孫魯育も孫和を支持します。
一方で姉の孫魯育やその夫にあたる全琮は、
孫覇を全力支持・・・
この争いを「二宮の変」と呼びますが、
泥沼化したこの争いは、どちらが勝利したとかではなく、
「孫和廃嫡＆孫覇自害」
という両成敗で決着を迎えることになります。
自害させられた旦那（朱拠）
孫魯育の夫であった朱拠は、
孫和が廃嫡された事を知ると、
自分自身を縄で縛り、命懸けで孫権に抗議しています。
しかし朱拠の必死の訴えも孫権に響くことはなく、
朱拠は百叩きの刑に処さられた上で、
新都郡の丞として左遷されてしまう事に・・・
また朱拠の災難はそれで終わらず、任地に赴く途中で、
孫弘に自害させられています。
これがどういうことかと言うと、孫弘はもともと孫覇派であり、
朱拠と対立していたことがありました。
そして孫権の体調が思わしくないことにつけ込んで、
孫権からの勅書を偽装した上で朱拠に自害を命じたわけです。
これにより未亡人となってしまった孫魯育ですが、
上でも少し触れた通り、その後に劉纂と再婚してますね。
殺害された孫魯育
独裁政権を築いていた孫峻に対して、
殺害計画が秘密裏に実行に移されようとしたことがあります。
一つは孫英による、
もう一つは孫儀のクーデター計画ですね。
結果から言ってしまえば、どちらの殺害計画も失敗に終わってしまいます。
しかし事件はこれでは終わらなかったのです。
姉の孫魯班は、「殺害計画に妹も関わっていた！」
なんていうもだから・・・
それを聞いた孫峻は、
孫魯育を捕らえて殺害してしまいます。
そしてその最後も孫権の娘とは思えないもので、
孫魯育の遺体は建業南部にある石子岡に埋めただけのものだったといいます。
孫魯育の晴らされた汚名
孫魯班のせいで汚名を受けたまま死んでしまった孫魯育ですが、
孫亮が孫魯育の死の真相について、
疑いを持っていた孫魯班に尋ねたことがありました。
そうすると首謀者であった孫魯班に騙され、
孫魯育の息子であった朱熊・朱損に罪を擦り付けた形で、
あべこべに殺害されることに・・・
朱拠と孫魯育は自分たちだけでなく、
息子まで殺害されるといった悲惨な目にあうわけですが、
その汚名を晴らしてくれたのが、三代目皇帝になった孫休でした。
孫休の皇后は朱拠・孫魯育の娘であり、
孫魯育との関係性が非常に大きかったのです。
兄弟の娘と結婚したというのも、
近親相姦的にも儒教精神的にも半端ないですが・・・
孫休によって孫魯育の汚名を晴らし、
孫魯育を殺害した孫峻の墓を暴いて孫峻の棺を削って、
孫魯育の無念を晴らしてあげています。
そしてラストエンペラーとなる孫晧もまた、
孫魯育の墓を改葬して大事にしたといいます。
「捜神記」に登場する孫魯育
西晋ではなく東晋時代に干宝によって、
四世紀前半に書かれたもので、
伝説的な事柄が沢山書かれているものに「捜神記」があります。
それに孫魯育のことが書かれてあったりしますので紹介！
それは孫晧が孫魯育の墓を改葬する為に、
石子岡に埋められていた孫魯育の遺骨を探そうとしたことがありました。
ただ石子岡にある墓がどれも似たようなもので、
「どの墓が孫魯育のものかわからなかった」といいます。
そこでかつて孫魯育がよく着ていた服装を聞き出した上で、
二人の巫女を呼んで占わせました。
二人の巫女は別々の場所で占わせますが、どちらも同じ占い結果だったという・・・
二人の占った内容は、
「三十を超えたぐらいの一人の女性がいて、
上着には青錦の服で、
下着には紫と白を合わせたものを着ており、
赤絹の厚い履物を履いている。
その女性は石子岡を半ばまで登ったところで、
手で膝を押さえて、大きな溜息をついていましたが、
しばらくすると、一つの墓の前まで移動して、
そこで女性はうろうろした後に見えなくなった」
というものでした。
そしてその墓を掘り返したところ、
二人の巫女が言った通りの服装の女性が出てきたといいます。
