曹丕と夏侯尚(かこうしょう 字:伯仁)

夏侯尚は叔父に夏侯淵がいたりと夏侯一族であることは分かっていますが、

父親は不思議と資料が残ってない人物になります。

 

夏侯尚は「魏志」諸葛尚伝と個人伝が立てられた人物ですが、

その中の多くを占める割合が、息子である夏侯玄についての描写がいです。

 

ちなみに司馬師に嫁いだ夏侯徽という娘もいましたが、

父親である夏侯尚しかり、息子の夏侯玄しかり、娘の夏侯徽しかり、三人ともが悲惨な最期を迎えています。

 

そんな夏侯尚ですが、曹丕によって非常に気に入られていた人物で、

二人は身分を超えた親密な付き合いをしていたようです。

 

ただある時に杜襲が主君の曹操に対して、

「伯仁殿としょうもない人間である」と助言したことがありました。

曹操にそのような言葉が伝えられても、息子の曹丕との交遊関係は変わることはなかったといいます。

ちなみにこれは曹丕が、五官中郎将に任命された頃の話になります。

曹操の死&曹丕の皇帝即位によって重職へ

夏侯尚は参軍事として曹彰に付き従って、烏桓族の討伐に向かった事もありました。

 

そんな最中で曹操が没すると、曹丕が曹操の跡に継ぐことになるわけですが、

曹丕から気に入られていた夏侯尚は大きく出世していくこととなります。

 

曹丕からの信頼が高い夏侯尚は、

父親である曹操の棺を洛陽から鄴へと運ぶ任務を授けられています。

また曹丕から平陵亭侯に封じられ、散騎常侍・中領軍に任じられています。

 

それから曹丕が魏を建国すると、夏侯尚は平陵郷侯に昇格し、

征南将軍・荊州刺史・仮節・都督南方諸軍事に任命されることになります。

曹丕 -漢を滅ぼし、魏を建国した初代皇帝-

「上庸郡奪取」の提案

関羽が魏呉に板挟みにあう形で討死すると、

関羽に援軍を送らなかったことなども含めて不安に陥っていた孟達は、

劉備を裏切り、曹丕の元へと寝返ります。

 

夏侯尚は孟達の裏切りを利用して、上庸郡への奇襲を曹丕に提案して受け入れられます。

そして夏侯尚は徐晃らと共に攻め込み、劉封の撃破に成功し、上庸郡の制圧を成し遂げました。

この手柄によって、夏侯尚は征南大将軍に昇進しています。

三方面の戦い(江陵の戦い)

劉備と孫権が夷陵の戦いで争ったことをきっかけに、

曹丕は孫権が太子の孫登を人質に送ってこないことに腹を立て、三方面から呉へ攻撃をしかけます。

〈三方面の戦い〉

  • 洞口の戦い
  • 江陵の戦い
  • 濡須口の戦い

 

夏侯尚は曹真と共に江陵城への攻撃を任されることになります。

江陵城を守るのは朱然で、そこに諸葛瑾・潘璋らが援軍としてかけつけていました。

 

夏侯尚は火計を用いて諸葛瑾隊を撃退し、江陵城は四面楚歌の状態に陥ります。

ここに曹真・夏侯尚だけでなく、張郃・徐晃・満寵・辛毗らも含めて総攻撃をしかけるも、

朱然が堅固な守りを見せた事で落とすことはかないませんでした。

 

これにより呉側の勝利で幕を下ろしますが、他の二方面の戦いも魏が敗北し全敗で幕を下ろしています。

夏侯尚は荊州牧に任じられ、以前から頂いていた1300戸から1900戸に加増されています。

 

一応補足ですが、上記内容は夏侯尚伝に記載されている内容ですが、

「曹真・夏侯尚が牛渚で孫権と戦った」というふうに「魏志」曹真伝には記載があるので、

このあたりは矛盾してるような記録が残されています。

墓を掘り返すほどに愛した愛妾&夏侯尚の末路

夏侯尚は曹真の妹である徳陽郷主を正室として迎えていましたが、

夏侯尚は非常に愛情を注いでいた女性が別にいました。

 

それを心苦く思っていたのは、

夏侯尚と立場を超えての付き合いをしていた曹丕でした。

そこで曹丕は刺客を放って、夏侯尚の愛妾を殺害してしまいます。

その事実を知った夏侯尚は激しく悲しみ、彼女が埋められた墓を何度も掘り起こしました。

 

この夏侯尚の執着ぶりに更に怒りを感じた曹丕ですが、

後悔の気持ちが芽生えた曹丕は、これまで同様に夏侯尚を厚遇したといいます。

 

ただ夏侯尚は次第に体を弱らせ、愛妾を追うようにして亡くなってしまいます。

 

正始四年(243年)になると、

曹操の廟庭に二十人の功臣を新たに祭ることが決まりますが、その中に夏侯尚も含まれていました。

夏侯淵・曹洪・曹休・曹真・夏侯尚・鍾繇・華歆・王朗・桓階・陳羣・

張遼・楽進・張郃・徐晃・朱霊・李典・臧覇・文聘・典韋 ・龐悳

 

ちなみに233年には夏侯惇・曹仁・程昱の三名が、

正始五年(244年)には荀攸が、

嘉平三年(251年)には司馬懿が、

景元三年(262年)には郭嘉が合葬されていますので、

全てを合わせると二十六名の人物が曹操の廟庭に祀られています。