呂凱と聞いてまず思い浮かぶのは、
諸葛亮の南征で登場た人物ということでしょう。
その際に南蛮の詳細な地図を、
諸葛亮に手渡してた人のイメージを持ってる方もいると思います。
ちなみにその地図は、
「平蛮指掌図」と言いますね。
まぁこれは三国志演義の話ですが、
正史に記載が残る呂凱像も大雑把に言ってしまうと似たような感じです。
呂凱（りょがい）の出生
呂凱は永昌郡不韋県の出身で、
三国志演義でいう所のほぼほぼ南蛮みたいな場所で生まれた人になりますね。
そんな呂凱ですが、
呂不韋の子孫だと言われています。
呂不韋がどういう人物か簡潔に紹介すると、
嬴政（秦の始皇帝）との権力争いに破れて、
自殺に追い込まれた人物です。
ちなみに嬴政は呂不韋の息子という説があったりしますが、
この説は結構可能性が高く、普通にありうる話になりますね。
このあたりの事を書くと話がだいぶそれていってしまうので
とりあえず話を戻しますが、
もしも嬴政が呂不韋の息子だったとした場合、
呂凱が嬴政と血縁関係があるとも言えることに繋がるわけですけどね。
ただDNA鑑定でもしない限り、
その真相は永遠に闇の中だとは思いますが・・・
また呂凱の出身地である永昌郡不韋県ですが、
「呂不韋に所以がある場所だ」
というのが県名にも入っていますよね。
これは偶然ではないですからね。
きちんと理由があっての不韋県なわけです。
雍闓の反乱×徹底抗戦した呂凱
呂凱が正史に登場するのは、
劉備が白帝城で亡くなった直後になります。
まぁ三国志演義において、
諸葛亮の南征で登場していることからも想像はつくと思いますが、
正史でもまさにそのタイミングなわけです。
一応は字が季平であったり、
五官縁功曹に任じられたなどの軽い自己紹介がまず書かれていますね。
また劉備死後に蜀漢に反乱を企てたのは、孟獲と言いたいところですが、
そうではなく雍闓になります。
三国志演義では南蛮王であった孟獲につられる形での反乱でしたが、
実際は雍闓の反乱に加勢する形で、
この反乱に孟獲が参加したという構図になりますね。
もっと言ってしまえば、
この反乱を裏から操ったのは孫権だったりするんですけどね。
孫権は雍闓を永昌太守に任じています。
これにより雍闓は、
益州太守であった正昂を殺害し、
それだけではなく正昂の後任として、
新たに派遣されてきた張裔を捕らえて呉へと送ってしまいます。
それから永昌郡へと軍を進めたのですが、
雍闓の考えは次のようなものだったのでしょう。
「私の主人は、
劉禅ではなく孫権様ですよ！」と・・・
また孫権は雍闓を永昌太守に任じただけでなく、
もともと益州を統治していた劉璋の子である劉闡を益州刺史に任じ、
交州の境へと進出させることをしていたりします。
これらを見る限りでも孫権はきちんと益州侵略の計画を立て、
それを実行に移していたということになりますね。
三国志演義のような単純な南蛮族の反乱ではなかったのが分かります。
そして雍闓に呼応したのが、
越巂郡の高定、牂牁郡の朱褒でした。
ちなみに「華陽国志」での高定は、
高定元の名で登場していますが、ここでは高定で統一します。
「華陽国志」とは、
３５５年に常璩によって編纂された地方誌で、
巴蜀・漢中で起こった事などを中心に書かれているものになりますね。
この雍闓の反乱に徹底抗戦を繰り広げたのが、
永昌郡の呂凱と王伉だったのです！！
ただ永昌郡という場所は、
立地的にも非常に不便な場所に位置しており、
雍闓・高定・朱褒が反乱を起こしたことで完全に孤立させられていました。
しかしそれでも呂凱・王伉は永昌郡の郡境を徹底的に封鎖し、
雍闓の侵入を頑なに防いだといいます。
これにより雍闓の反乱計画は大きく狂っていくことに・・・
呉蜀の関係修復×反乱の鎮静化
諸葛亮は雍闓・高定・朱褒らの反乱を鎮圧する前に、
裏で手を引いていた呉との関係修復を最優先項目だと判断し、
鄧芝を呉へと派遣したのでした。
孫権は鄧芝を大変気に入り、
呉蜀の関係は修復されることになり、
この時に雍闓によって呉へと送られた張裔も蜀へと返されています。
呉蜀の関係が修復されたことで、
「待ってました！」
と言わんばかりに、
諸葛亮は馬忠・李恢らと共に、
雍闓・高定・朱褒らの討伐に動き出します。
それによりお反乱軍は次第に追い込まれていくのですが、
「孫権の後ろ盾もなく、このまま戦えぬ！」
と判断した雍闓は蜀漢に真っ先に降伏することに・・・
これに大きな怒りを感じた高定は雍闓を殺害してしまいます。
正確には高定の部下によってですが・・・
三国志演義では、鄂煥という名がこの部下に与えらえています。
高定によって討ち取られた雍闓ですが、
高定もまた諸葛亮に捕らえられて処刑されるのでした。
また一方の朱褒はというと、
諸葛亮の別動隊として動いていた馬忠らによって敗れていますが、
諸葛亮に許されただけでなく、正式に太守に任じられています。
一言でいうと、運が良すぎます！
その後の呂凱
雍闓・高定・朱褒の反乱が沈静化したことで、
永昌郡や益州郡に変更が加えられることになります。
雍闓が反乱を起こした益州郡は建寧郡に名前が変更され、
永昌郡は永昌郡・雲南郡の二つに分けられることに・・・
実際には建寧郡からも、
一部雲南郡に組み入れられているんですけどね。
そして永昌太守に王伉、
雲南太守に呂凱が任命されています。
またあわせて呂凱は陽遷亭侯にも封じられています。
それからしばらくしてのことですが、再び蛮徒が反乱したことで、
呂凱は殺害されてしまったといいます。
呂凱亡き後は息子の呂祥が爵位を継承し、
その後の雲南太守には張休が任じられることになったそうです。
