貂蝉の民間伝承

三国志の民間伝承は、

本当の話から完全に嘘と思えるものまで沢山の話が残っています。

 

その中で、湖北省に伝わる貂蝉ちょうせんの民間伝承に面白いものがあるので、

今回紹介したいと思います。

 

 

 

詳細は後に述べますが、

簡単にまとめてしまうと次のような話になります。

 

 

神医とも呼ばれた華佗が、

 

董卓暗殺の為に貂蝉を美女に改造して、

サイボーグ貂蝉を作り上げるという内容になっています。

 

まぁ普通に考えればあり得ない話になりますので、

面白さ半分で見て頂ければと思ってます。

 

 

一般的に華佗のイメージは、

麻沸散による外科手術の話が一番有名かもしれませんね。

 

これが真実ならば、

「世界初の麻酔による手術」

を行ったのが華佗になりますから・・・

 

 

他にも「お屠蘇とそを開発したり、

※「屠蘇」の正式名称は「屠蘇延命散」

 

動物の動きを真似る「五禽戯」

という健康法を編み出したことでも知られています。

華佗が作り出した「屠蘇延命散/お屠蘇」

華佗の編み出した健康法「五禽戯(ごきんぎ)」

王允・貂蝉の董卓殺害計画「美女連環の計」

後漢皇帝である献帝(劉協)をないがしろにし、

董卓の独裁に苦しめられていた民衆を救う為に動いたのが、

 

「美女連環の計」で知られる王允でした。

 

 

王允は美女として知られた貂蝉を使って、

董卓と呂布の仲をこじらせて仲違いをさせるというもので、

 

この計画は王允・貂蝉の思惑通りに進み、

呂布は董卓を殺害してしまいます。

 

 

もちろんですがこれは正史の話ではなく、三国志演義に出てくるお話ですね。

⑥美女連環の計による董卓殺害と献帝の長安脱出

 

 

 

なので貂蝉という女性は架空のキャラクターではあるんですが、

中国四大美女の一人に不思議と数えられたりします。

  • 西施(春秋(呉越)/実在)
  • 王昭君(前漢/実在)
  • 貂蝉(後漢/三国時代/架空)
  • 楊貴妃(唐/実在)

 

 

ですが貂蝉の元ネタとなった女性は実は存在しており、

名前こそ伝わっていないものの呂布が董卓の侍女と繋がっており、

 

それがきっかけとなって呂布が董卓を殺害したと言われています。

 

 

 

ただ貂蝉には不思議な話も多く、

実際に実在していたという説もありますし、

 

架空であるはずの貂蝉の墓が、

山西省忻州市木芝村に実在しているたり・・・

架空の人物なのに実際に墓がある貂蝉・周倉・鮑三娘

貂蝉は絶世のブス

王允が計画を立てた「美女連環の計」ですが、

貂蝉の顔を見た王允は絶望することに・・・

 

そもそも貂蝉サイボーグ説では、

貂蝉は超不細工な女性であることから話は始まります。

 

王允はこんな醜い顔をした貂蝉では、

董卓と呂布を手玉になんてとれるわけがないと肩を落としたわけです。

 

 

 

ここで登場したのが、

「神医」華佗!

 

 

華佗は王允に対して、

「私になら貴方の悩みを解決することができますよ!!

ただ準備があるので少しお待ちを!」

と告げると王允のもとから去っていきます。

 

 

そして10日ほどしてある日、

 

華佗が王允の元へと戻ってきたことで、

貂蝉のサイボーグ計画が実行に移されていくのでした。

華佗による貂蝉改造計画(容姿編)

 

王允の元へと戻ってきた華佗は、

 

「お時間を頂いたことで、無事に準備は整いました。

 

貴女の望みを叶えるべく、

貂蝉を美人に変えてさしあげましょう!」

と言い、持ってきた包みを広げ始めます

 

 

その包みの中には女性の首が入っており、

 

その女性の首は、なんと中国四大美女の一人である

西施せいしの首だったのです。

 

 

「この首はどうしたのか!?」

と華佗に尋ねると、

 

「この西施の首は、墓から持ってきたものです」

と王允打ち明けたのですが、

 

さらっと墓泥棒をやってる華佗・・・

 

 

 

ちなみに西施は王允の時代より、

約七百年前の呉越が争っていた時代の女性です。

 

この時点でつっこみどころ満載なんですが、

その点は軽くスルーして、王允は西施の美しい首を見て喜んだといいます。

 

いやそもそも何をもって美しい首だと・・・

 

 

そして貂蝉の改造手術がはじまります。

 

 

華佗はまず貂蝉の首を斬り落とし、

そしてそこに西施の首を縫い付けたのでした。

 

(;゚ω゚)エッ…………..

 

 

 

そうすると貂蝉は一週間ほど息もせず、

死んでいるようだったといいます。

 

 

それを一般的に死んでると言うんですが・・・

 

 

ただこれ以上突っ込んだら、

色々な意味で負けだと思うので次に行きましょう。

 

 

しかし一週間を過ぎた八日目にさしかかると、

西施の顔に変わった貂蝉の顔に変化があらわれ、

 

顔色が次第に良くなっていったのでした。

 

 

そして何事もなかったかのように、

貂蝉は目を覚まして起き上がったといいます。

 

 

そんな貂蝉を見て、

「この美しさならば、董卓を討つ事ができる」

と王允は喜んだと言います。

華佗による貂蝉改造計画(肝/きも編)

王允は西施の顔に変わった貂蝉さえいれば、

 

「美女連環の計は必ず成功する!」

と確信し、董卓暗殺計画に乗り出します。

 

 

王允が真っ先にやったことは、貂蝉に対する噂で、

「貂蝉が絶世の美女である!!」

という情報をばらまいたのでした。

 

 

 

そしてこれが王允の流した罠とも気づかずに、

董卓は貂蝉に自分の元に来るように命じたのですが、

 

董卓を目の前にした貂蝉は、大変にびびったといいます。

 

 

その様子を見ていた王允は、

 

「西施の美貌をもってしても、

これほど肝っ玉が小さければ計画は成功しない」

と落胆してしまうのでした。

 

 

そこで登場したのがまたしても華佗でした!

 

そして今度は荊軻けいかの墓を暴いて、

荊軻の肝を墓泥棒したようで・・・

 

 

まぁ荊軻が何者かと軽く説明しておくと、

秦の始皇帝を殺害しようとした刺客になりますね。

 

最終的に始皇帝殺害計画は失敗に終わりますが、

固い信念をもって実行に移した荊軻の肝は石のように硬いもので、

 

その肝は墓にそのまま残っていたそうです。

 

 

「華佗はその肝を持ってきた」

という流れなわけでして・・・

 

いや「墓泥棒してきた」がただ正しい表現ですかね。

 

 

とりあえず何度も言っていますが、

突っ込んだら負けです!

 

 

そして華佗は貂蝉の腹を切って肝を取り出すと、

今度は荊軻の太い肝に・・・

 

これにより王允が喜んだというのは、

言わずもがなわけですが・・・

 

 

西施の美しい顔を持ち、

荊軻のような太い肝を持った貂蝉は、

 

董卓と呂布を仲違いさせて、

董卓を殺害する事に成功したのでした。

最後に

世の中には多くの民間伝承が残っていますが、

この改造計画は少しどころかかなり飛びぬけた伝承で、

 

誰が何の目的でこれを作り、それが現在まで伝わってきたのか完全不明です。

 

 

ですが、架空の人物である貂蝉だからこそ、

そういった話が面白半分で作られたのかもしれませんね。

 

 

 

そもそもが中国四大美女に、

架空の人物である貂蝉が数えられてる時点で驚きの話ですし、

 

そもそも貂蝉の墓があること自体驚きですし・・・

 

 

何より董卓の死に多大な影響を与えた貂蝉だからこそ、

奇想天外な伝承から真実味のある伝承まで様々なものがあるのでしょう。

 

貂蝉サイボーグ計画も、そういった伝承の一つだという事ですね。