王粲(おうさん)

王粲は名門出身で、

曾祖父の王襲、祖父の王暢などは三公に任命されています。

 

王粲は、若い時から計算が得意で、

文章を書く才能に長けており、一度筆をとると即座に文章を完成させ、

それを手直しすることもありませんでした。

 

周りの者達は王粲のあまりの凄さに、

前から作っていたものだろうと疑ったそうです。

 

しかしそれは

王粲が陰ながら物凄い努力をしていた賜物でした。

蔡邕に認められる

幼かった頃の王粲は、長安に行った際に、

蔡邕(さいよう)によって、非常に高い評価を受けています。

 

蔡邕は、博学で才能豊かだったので、

董卓からも信頼され、朝廷からも重んじられた人物でした。

 

 

その蔡邕が、王粲を高く評価し、

「このお方は幼いが、王公の孫で、

特別な才能を持っており、私でさえ敵わない。

 

必要ならば私の家にある書籍であろうとなんであろうと

このお方にお渡しするが良い」と周りの者に言ったそうです。

 

 

蔡邕の目にかなっただけあって、

王粲は17歳の時に三公であった司徒に任命する話が持ち上がりますが、

長安が動乱の中にあった為、司徒を引き受けず、長安を去っています。

 

その後王允・呂布が董卓を殺害すると、

蔡邕はじめ、多くの者達が処刑されています。

 

目先の役職に目を奪われず、情勢を読み取った王蔡ですが、

もしそのまま司徒になっていたら、王允らによって処刑されていたかもしれませんね。

荊州での王粲

 

長安を去った王粲は、

荊州の劉表を頼っていきますが、

 

劉表は、弱弱しい見た目をしていた王粲を嫌い、

王粲を重要視しませんでした。

 

蔡邕とは真逆の評価だったわけです。

 

 

劉表が病気でこの世を去ると、

跡を継いだ劉琮に仕えます。

 

しかしそんな折に、

曹操が南方政略の為に、荊州へ攻め込んできます。

 

劉琮は当初曹操と戦う気でしたが、

王粲は蔡瑁らと共に劉琮を降伏するように説得しています。

曹操に仕えてからの王粲

曹操に降ってからの王粲は、

後に軍謀祭酒に任命されています。

 

この軍謀祭酒という役職は、

陳琳(ちんりん)も任された役職で、文才がある者に曹操は任せています。

※王粲も陳琳も建安七子です。

 

 

また、朝廷に差し出す上奏文を記載する時は、

鍾繇(しょうよう)・王朗(おうろう)といった優れた者達でさえ、

王粲を見ると、筆を置いて自ら書くことを避けたそうです。

 

鍾繇・王朗といえば、

曹丕の時代に三公に任命された程の実力の者達です。

 

そんな王蔡ですが、

217年、41歳でこの世を去っています。

王粲死後

王粲には二人の子がいましたが、

219年、魏諷(ぎふう)の誘いにのってクーデター計画にのってしまい、

計画がばれてしまい、処刑されてしまいます。

 

これによって王粲の跡継ぎは、途絶えてしまいます。

 

 

この頃の曹操は、戦の為に遠征しており、

長安に留まっていました。

 

後でこの話を聞いた曹操は、

「もし自分が都に在籍していたならば、

王粲の跡継ぎが途絶えてしまうようなことをしなかったのに・・・」

と嘆いたそうです。

玉佩(ぎょくはい)の復元

 

玉佩とは、礼服の一種で、

位の高い者が礼服につけた飾りのことをいいます。

 

後漢末期の動乱によって、

玉佩が世の中から無くなってしまいます。

 

誰もこれを復元する事ができなかったのですが、

王粲は、従来の玉佩を知っていた為、復元する事に成功します。

 

現在も使われたりする玉佩は、

王粲によって復元されたものであることは意外と知られていません。

王粲の逸話①

 

ある時王粲は、知人と一緒に歩いていた時、

道端に石碑が置いてありました。

 

王粲は、その石碑を読むんですが、

知人が、「あなたはこの石碑に書いてあることを暗礁できますか」と尋ねます。

 

そうすると王粲は、

「既に覚えてしまったので、暗唱できますよ」と答えます。

 

知人はさすがに無理だろうと思いながらも、

王粲に後ろを向かせると、一字一句間違うことなく暗唱したそうです。

王粲は、人並外れた記憶力をしていたのです。

王粲の逸話②

 

王粲が、囲碁を見物していた時の話なんですが、

碁石がふとしたことで、めちゃくちゃになってしまいます。

 

そうすると王粲は、めちゃくちゃに散らばった碁石を並べなおします。

 

それを見た対局者は王粲を信用せず、王粲が並べた碁盤を布で隠し、

別の碁盤を準備して、王粲に再度並べるように言いました。

 

王粲は再度並べなおしますが、

布で覆われた碁盤と全く間違いがなかったそうです。