高岱(こうたい)

高岱は呉郡出身で、金銀財宝には興味がなく、

聡明で、信義を重んじていた人物です。

 

それ故、彼が親交を結んでいたのは、名前こそ知られていないものの、

何かしらの特出した才能を持った人たちばかりでした。

許貢の支配

そんな呉郡に、許貢(きょこう)がふとやってきて、

呉郡を支配してしまいます。

 

彼の良い噂を聞かなかった高岱は、

陶謙に援軍を求める為に呉郡を脱出し、徐州へ向かいます。

 

しかし、陶謙は高岱を助けようとしません。

それでも高岱は諦めず、しつこくお願いをします。

 

高岱は食べ物も飲み物も口にせず、

その結果憔悴し、血の涙を流してしまいます。

 

この様子を見た陶謙は、

援軍を出すことを決定し、高岱は呉郡に帰還します。

捕らえられた母親

高岱が呉郡に到着すると、

許貢によって高岱の母親が捕らえられていました。

 

これに高岱は驚き、

許貢に殺される覚悟で母の助命をお願いしています。

 

許貢は、高岱の弁舌の優秀さに感心し、

心の底から謝罪している様子を見て、母親をすぐに開放します。

 

 

母親が解放されると、高岱はすぐに呉郡から脱出し、

母親と共に会稽(かいけい)へ移動しています。

 

高岱が逃げた事を知ると、許貢は急ぎ追いかけますが、

高岱を捕らえる事は出来ず、後の祭りでした。

孫策の支配

会稽で静かに暮らしていた所に、

江東制圧に乗り出していた孫策が進行してきます。

 

そして高岱が優れた者だという噂は、

孫策の耳にも伝わっており、高岱を呼び寄せます。

嵌められた高岱

高岱が孫策に呼び出された話を聞いて、

高岱を貶めようとする人物がおり、孫策に次のように伝えます。

『高岱と会うと聞きましたが、

彼はあなたを武力だけの能なしと見ています。

 

もしいくつか質問してみて、

高岱が「知りません」と答えたならば、

それはあなたを馬鹿にしているということです』

 

 

またその人物は、高岱にもあって、次のように述べます。

「孫策様は、自分より優れた人物を嫌います。

なので何か質問されれば、「知りません」と答えれば、

孫策様の機嫌を損なわないでしょう」と。

 

 

そして実際に高岱が孫策に会うと、孫策よりいくつかの質問がされます。

高岱は、言われた通り「知りません」と答えてしまいます。

これを聞いた孫策は激怒し、彼を捕らえます。

人徳が高かったばかりに避けられなかった最後

高岱が孫策に捕らえられている事を知った者達は、

高岱の助命嘆願に訪れます。

 

その数は、数里に渡って続き、

高岱がこの地の人達に非常に慕われていると分かり、逆に嫉妬してしまいます。

 

おそらくこの理由として、孫策は会稽を支配したばかりで、

まだ人心を捕らえていなかったというのが理由かもしれません。

 

とりあえず高岱に嫉妬した孫策は、有無を言わさずに処刑してしまいます。

 

 

悪い事は何もしていないのに

人々に慕われたがために殺されたとあっては、高岱もたまらなかったでしょうね。

 

また高岱の人心の高さに嫉妬して殺してしまうあたりが、

孫策の末路を表しているような気がします。