「三国志演義」に登場する曹植の「七歩詩(七歩の詩)」。
「七歩の才」と呼ぶこともありますが、
これはもともと「世俗新語」に記載があるものを、
「三国志演義」に取り入れられているものとなっています。
ここでは似ているようで微妙に違う、
二つ(世説新語&三国志演義)の七歩の詩を見ていきたいと思います。
久保田・園田三国志(769P)より画像引用
「七歩詩」(世説新語の原文&書き下し文&翻訳)
文帝嘗令東阿王七步中作詩、
不成者行大法。
「文帝、嘗て東阿王をして七歩の中に詩を作らしめ、
成らずんば大法を行はんとす。」
曹丕(魏文帝)は曹植(東阿王)に対して、七歩歩くうちに詩を作るように命じた。
そしてもし作れないようならば法に照らして罰しようとした。
應聲便為詩曰、
「声に応じて便ち詩を為りて曰く、」
曹植は曹丕の声に応じて、たちまちのうちに詩を作って読んだのである。
「煮豆持作羹、漉菽以為汁。
「『豆を煮て持って羹を作し、 豉を漉して以て汁と為す。」
「豆を煮て濃い汁物を作り、豆味噌をこして味を調える。
萁在釜下燃、豆在釜中泣。
「萁は釜下に在りて燃え、 豆は釜中に在りて泣く。」
豆萁は釜の下で燃料として燃え、豆は釜の中で泣く。
本自同根生、相煎何太急」
「本同根より生じたるに 相煎る何ぞ太だ急なる。』」
豆も豆萁ももともとは同じ根から生まれたものであるのに
(豆がらは豆を煮る為に)どうしてそんなに激しく燃えるのか!?」
帝深有慚色。
「帝、深く慚づる色有り。」
それを聞いた曹丕は深く恥じ入ったのである。
七歩詩(三国志演義の原文&書き下し文&翻訳)
煮豆燃豆萁
「豆を煮るに、豆萁を燃やす。」
豆を煮る為に、豆萁を燃やす。
豆在釜中泣
「豆は釜中に在りて泣く。」
豆は釜の中にあって泣く。
本是同根生
「本は是れ、同根に生ずるを、」
豆と豆萁は、もともと同じ根より生じたにも関わらず、
相煎何太急
「相い煮ること、何ぞはなはだ急なる。」
(豆萁は豆を煮る為に)どうしてそんなに激しく燃えるのか!?