二十五史（中国の正史）＆三国志（陳寿）

正史（正式な歴史）

陳寿の著した「三国志」を「正史」と言いますが、

「正史」の本来の意味は「正しい歴史」という意味ではありません。

 

これは結構勘違いしている人も一定数いたりしますが、

実際は国が認めたという意味での「正式な歴史」が正史の意味になります。

 

 

つまり中国の歴代王朝公認の歴史書が正史なわけで、

国家の都合も入った歴史も実際に書かれてあったりしますから、

 

実際の歴史が歪曲された歴史も一部入ってたりするのが実情だと思います。

 

それでもそこから得られる情報の方が多く、

現在も中国の歴史を知っていく上で必要不可欠なものが正史でもあるわけです。

「二十五史」一覧表

今現在の中国の正史は、基本的に「二十五史」と呼ばれていますが、

「新元史」（著：柯劭忞）を抜いたものが「二十四史」と呼ばれるものになります。

『史記』司馬遷 巻数：１３０巻　　制作時代：前漢

『漢書』班固 巻数：１００巻　　制作時代：後漢

『後漢書』范曄 巻数：１２０巻　　制作時代：南宋

『三国志』陳寿 巻数：６５巻　　制作時代：晋

『晋書』房玄齢等 巻数：１３０巻　　制作時代：唐

『宋書』沈約 巻数：１００巻　　制作時代：梁

『南斉書』蕭子顕 巻数：５９巻　　制作時代：梁

『梁書』姚思廉等 巻数：５６巻　　制作時代：唐

『陳書』姚思廉等 巻数：３６巻　　制作時代：唐

『魏書』魏収 巻数：１１４巻　　制作時代：北斉

『北斉書』李百薬 巻数：５０巻　　制作時代：唐

『周書』令狐徳棻等 巻数：５０巻　　制作時代：唐

『隋書』魏徴・長孫無忌等 巻数：８５巻　　制作時代：唐

『南史』李延寿 巻数：８０巻　　制作時代：唐

『北史』李延寿 巻数：１００巻　　制作時代：唐

『旧唐書』劉昫等 巻数：２００巻　　制作時代：後晋

『新唐書』欧陽脩・宋祁 巻数：２２５巻　　制作時代：宋

『旧五代史』薛居正 巻数：１５０巻　　制作時代：宋

『新五代史』欧陽脩 巻数：７４巻　　制作時代：宋

『宋史』脱脱等 巻数：４９６巻　　制作時代：元

『遼史』脱脱等 巻数：１１６巻　　制作時代：元

『金史』脱脱等 巻数：１３５巻　　制作時代：元

『元史』宋濂等 巻数：２１０巻　　制作時代：明

『新元史』柯劭忞 巻数：２５７巻　　制作時代：中華民国

『明史』張廷玉等 巻数：３３２巻　　制作時代：清

三国志（陳寿 -６５巻-）

「三国志」を著した陳寿は、

もともと蜀漢（劉禅）に仕えた人物でしたが、

 

２６３年に蜀漢が滅亡して以降は、その後に魏に成り代わった晋に仕官しています。

 

そんな陳寿が後漢の混乱期から晋の統一までを、

「魏書（魏志）」「呉書（呉志）」「蜀書（蜀志）」として、

記録に残したものが「三国志（正史）」になります。

 

勘違いされる方も多いですが、「三国志」は、

「三国の志」という意味ではなく、「三国の記録」という意味ですね。

 

 

ただ現在に伝わっていませんが、

実際は「陳寿の自序」も付与されていたと言われています。

 

ちなみに「自序」とは、陳寿がどういった考えで、

「三国志」を著したかについての考えなどが書かれてあったとされるものですね。

 

そして陳寿が著した「三国志」は、正史の位置づけで書かれていたものではなく、

陳寿の死後に正史に昇格したような感じです。

 

 

ちなみに私達が良く知る邪馬台国の卑弥呼が登場する「魏志倭人伝」というのは、

この陳寿の「三国志」の中に記録として残されているものになります。

 

正式な名称は「魏志倭人伝」ではなく、

「三国志」魏書（魏志）の第三十巻の中にある、

「烏丸鮮卑東夷伝うがんせんびとういでん倭人条」の略称になります。